バルセロナに帰ってきました。
載せたい写真はいっぱいあるのですが、容量がいっぱいいっぱいなので、来週ブログを引っ越したら載せることにします。
とりあえず、久しぶりのインターネットで、世界がどうなっているのか(本当にネットがないと、ニュースが分からないんです)、じっくりと読み、そしてたまっていたメールを読みました。ふう。
書きたいことはたくさんあるのですが、さっきあった怖い出来事を今日は書こうと思います。
夜行列車で13時間・・・、今朝バルセロナに到着しました。
空も海も美しく、のんびりした雰囲気で温かい人々に包まれたCADIZとはやっぱり全く違う世界です。都会です。風景も、人々も。
やはり一番の大きな違いは外国人がとにかく多いこと。特に南米やアフリ中国からなど。
おっと、夜行列車が各地方に出ている大きな駅で、早速日本人を発見!
日本人って、本当に遠くから一目ですぐに分かるんです。
なんでしょうかねえ・・。顔や服だけではなくて、独特の雰囲気があるんです。
その若い(おそらく)ご夫婦は、スペイン語ができないようで、一生懸命に英語で地図を見せながらどうにか目的地への列車乗り場を見つけたらしく、何度もサンキュー、サンキューと言っていました。
・・・なんとなく近くに寄ってみる私・・・。(←あんたが一番怪しい・・・)
すると「よかった、やっぱり、英語で何とか通じるもんだよ。あー、よかった」と言っているのが聞こえました。やっぱり日本人だった。
しばらく行くと、今度はまたどう見ても日本人の女の子が2人。
「チャイニーズかもよ」と息子。「いやあ、あれは絶対日本人だわー。」と私。
通り過ぎる時に彼女たちが手に持っている本が見えました。
思いっきりカタカナで「スペイン」と書いてありました(笑)。やっぱりね・・・。
言葉で表すのは難しいのですが、やはり日本人にはやっぱり独特の雰囲気があるのです。
「なんだろうね・・、なんとなく、なんで日本人が狙われるのか分かる気がする。・・いい人・・・じゃなくて・・・えーっと・・・」
すると、主人が言いました。
「・・too pure・・?」
それが正しい表現なのかどうかは分かりません。
でも、なんとなくその意味を納得できます。海外では。
平和な環境で育っている、・・悪く言えばスキがあるのかもしれません。私も含めて。
さて、家までは地下鉄に乗るのですが、私も主人もこのバルセロナの地下鉄が大嫌いなのです。かなり簡単にタダ乗りできてしまう改札のシステムを、多くの移民者達が柵を越えたり下をくぐったりして通り過ぎます。
地下鉄に乗れば、お金を恵んでほしい人がマッチを売っていたり、ギターを弾いていたり・・・そんな光景もよく見ます。私は子供たちを近くに寄せ、たえず気を張っています。今日はおばあさんと女の子がコップをもってまわっていました。おばあさんは目が見えないのか、なにやら大きな声で歌のようなものを歌いながら自分たちがどんなに困っているかを訴えていました。
子供をみると、かわいそうだな・・・コインぐらいは・・とは思うのですが、主人はいつも言うのです。そんなことを公共の場でしたら、みんなに私はお金を持ってますと言っているようなものだから、絶対にダメだと。えー・・・・なんかそんなのって・・・いいのかなあ・・本当に困っていそうだけど・・・と私は思うのですが・・。でも、主人は正しかったようです。
国内でも郵便の送料は結構高いため、向こうで安い!と買い物したものは、結局送らずに頑張って持ってくることにしました。主人はスーツケースと大きな袋を持ち、私は背中にバックパックをしょって、ストローラーにおチビチャんを乗せ、両側には息子と娘をつかまらせていました。
古くて暗い地下鉄の駅の階段を何度も上ったり下りたり・・・クタクタでした。
そして、ついに最後の乗り換え。
あー、後はこれに乗ればうちに着くだけ・・・と乗ろうとしたときでした。
ドアが開くと大きな男の人たちが何人かドア付近に乗っていました。
降りるとこだったのか、とにかく私たちの前に立っていました。
まず、子供たちを乗せ、続いて私がストローラーを電車に乗せようとすると、その男の人たちの中の一人が持ち上げるのを手伝ってくれました。それまで何度も大変な時にも人々は通り過ぎて行ったので主人と「やっぱりCADIZの人々とはちょっと違うね・・・」と話していたので、その時私は「あー、ここにも親切な人はいるもんだ」と思いました。
お礼を言って乗り振り向くと、主人が乗ろうとした瞬間にその男の人たちがダーーーーとすごい勢いで降りはじめ、主人が外に出てしまいそうになりました。主人は出ていく人たちに何やら大きい声で叫びながら怒っていました。
何々??驚いて私は「私たちが乗るのに時間がかかったから、ドアが閉まる前に急いで降りたんじゃないの?押されたぐらいでそんなに怒らなくても・・!」というと、主人が「危なかった!」と興奮して言いました。
全く状況が分からない私。
実はこうだったのです。
最初から、私たちは彼らにとって絶好のターゲット。
子供3人にたくさんの荷物。助けるフリをして荷物を奪って逃げる計画だったようです。
主人も最初は助けてくれているのかと思ったようですが、2人がスーツケースを持ち上げようとした瞬間に「?!何か変だ!」と思い、スーツケースをしっかり持ち直すと、その瞬間その中の一人がさっとポケットに手をいれて財布をとろうとしたのでその手もつかみ大声で叫んだそうです。
わずか数秒の出来事でした。本当に瞬きほどの。
本当にあぶないところでした。
スーツケースにはこの私の今使っているパソコンが入っていました。
財布にはもちろんカードなど大事なものがたくさん入っています。
もし主人がとっさに疑わなければ、今頃は大問題でした。そして、奪われたものは返ってこないでしょう・・。
主人は親切な人ですが、日頃から「人を見たら泥棒と思え」のように、私のようには簡単には何かを信じなかったり、心許さないところがあって、私にはそれはあまり好きではなかったのです。考えすぎだよーっ、そんなことないよーって。でも、そのお陰で今日は救われました。
私だったら、絶対に盗られていたでしょう・・・。
重いスーツケースを持ち上げてもらったら、お礼を言ってドアが閉まる瞬間に逃げられていたと思います。そして、驚いている間に財布も盗られていたでしょうね・・・。
too pureか・・。
この言葉は好きではありませんが、確かに私は助けてもらったと思い、全く疑いませんでした。
こういうことがあるなら、結局は、助けもしない、助けられもしない・・方が疑われも疑いもしなくてよい・・ということになるのかもしれません。
確かに、人前で募金するのもコインを入れることも・・・危険かもしれません。
日本人は、バルセロナ周辺だけで毎年百数十件もスリやひったくりの被害に遭っています。
それを知っていても、今日こうして自分の目の前でおきるなんて思っていなかった私は、やっぱり平和ボケしているのかもしれません。スキだらけですね・・。
地下鉄の駅で、こんな放送が「日本語」で流れるのを聞いたことがあります。
「あなたは狙われています。」こわいですね。
子供たちは、こんな事件を目のあたりにして、やっぱりかなり驚きショックを受けたようです。
なにがあったか、分かるように説明して心配しないように・・・話しました。
主人は、日本への出発まで、私と子供だけで出かけてほしくない・・・・といいます。
ここは、5人だとタクシーに乗せてもらえないのですが、空港にいくのもやっぱり地下鉄は避けたいところです・・。
バルセロナ周辺でこれまでに何度もテロの計画をしていた疑いで警察に捕まった人々がいることや、こういう事件が身近で毎日のように起きていること・・・・なぜ私たち家族が帰国することを喜んでいるか分かっていただけると思います。
もし、ストローラーを持ち上げるのを手伝ってくれるようなふりをして、ドアが閉まる瞬間に私の手を振り払って何人がかりかで子供を連れさらわれてしまったら・・・と思うと本当にぞっとします。
今朝見かけた何人かの日本人の観光の方々も、被害に遭わないといいなあ・・と願っています。大使館などでは、常に警戒を呼びかけていますが、やっぱり自分の目の前で実際に起きるまであまりにも素早く、そして普通にやってくるので気がつかないこともあると思います。嫌ですね・・・ほんと。
とにかく、皆が無事に帰ってこられたこと・・・よかったです。