うちの子供たちは最近なにかと張り合っています。
もうすぐ6歳になるおにいちゃんは「負ける」のが大嫌い。
典型的な「僕は・・・ができるんだよ!!」と世界中に言いたいようなお年頃の男の子。
もうすぐ4歳の娘はこれまた「超」がつく負けず嫌い。
小さい時からお兄ちゃんが親友であり、また最大のライバルです。
そこまで張り合わなくてもいいのに・・・というほど絶対に負けたくない。
そして最近、3単語ほど話すようになってきた1歳の息子は、自分も何でもお兄ちゃんとおねえちゃんと同じくしたいまねっこステージへ突入。おっとりタイプではあるものの、なんでも対等にやりたがる・・・・。
さて、お兄ちゃんが「みんなで・・・・をやろうか!」などと提案すると必ず問題が起きます。
まず、当然なんでも一番上手にできるお兄ちゃん。大満足の5歳児。
そして当然、5歳のようにはうまく出来なくて「もう、やらない!!」とふくれる3歳児。
いまいち仲間に入れてもらえないのが不満で泣き出す1歳児。
・・・・・・・・。はあ。
子育てとは本当に深いものです。
子供はどんどん次の違ったステージに入っていくので、段階に応じて私も柔軟に対応していかなくてはならないと思います。1年前にやっていた方法ではもう対応できないこともしばしば。
しかし、一体この全く違うステージにいる3人の子をどうやって仲良く皆が満足いくように遊ばせたらよいのでしょうか?
そんなことを考えていた先日・・・・・
色々な年の子供が集まってゲームをするという場にうちの子も参加する機会がありました。
内容はハンカチゲームのような感じ。大きな輪になって、オニがひとりひとりの頭を軽く叩きながら「りんご、りんご・・」と言います。そして「みかん!」と言われたこは立ってオニを追いかけなくてはなりません。タッチできたらオニにならずに済みますが、オニが一周逃げきって、自分が元いたところに座られてしまったらアウト!みかんと言われたこが次のオニです。
下は5歳から上は19歳まで。
さあ、この年令差の中でこのゲームはどうなるのかしら???と興味をもって見ていました。
面白いのは、様々な子達の性格が見えてきたこと。
小さい子のそばに座って常に面倒をみようとする11さいの女の子。(さすが4人兄弟の長女!)
「僕を選んでー!!走りたいよー!」と言わんばかりに自分の番をわくわくして待つうちの息子(はりきり過ぎ・・・・苦笑)。
おにが自分のところに来てもボーっとして気がつかない子・・などなど。
楽しい時間が過ぎていきましたが、ここでひとつの事件が。
5歳のYちゃんが「みかん!」とオニにいわれ、立ち上がったのですがどうしていいかわからずにきょろきょろしている間にオニが一周逃げて帰ってきてしまったのです。皆が「あああーーー!」とドッと笑ってしまいました。決して悪気はなかったのですが、キョトンとしている彼女がかわいいかったのもあり、大人も「あーー残念!」と笑ったのです。
すると、Yちゃん泣きだしてしまいました。
すぐにYちゃんのそばに来てフォローするこの11歳の女の子。(およめさんに来てほしいわー)
顔をふせてしくしく泣くYちゃんはしばらくそのままでした。
さて、ゲームはまだ続きました。大盛り上がりでした。
しばらくして最年長の男の子(明るくて人気者)がオニになりました。
誰が「みかん」に指名されるのか・・・!?皆ドキドキ。
すると、なんと彼が選んだのは静かに座っていたYちゃん。
暗黙の了解でもうこの子は指されないと誰もがそっとしておいたのに。
皆思わず「・・・ええーー!」とひやひやしました。また泣いちゃう?
Yちゃん本人もびっくりしたようでした。
彼はすぐ逃げずに「こっちだよお。」とYちゃんを待ちつつ(ここがポイント)、Yちゃんが走り出すと「キャー」と面白いポーズで逃げました。もちろん、大げさなふりの割にはあまり進んでいない(笑)。その彼を真剣に追いかけるYちゃん。ついにタッチしました。
「わーーー!しまった、つかまったーー!」
バタっと倒れて残念がる姿に皆子供たちは大笑いでした。
Yちゃんは「やったーー!」と素敵な笑顔を見せてくれました。
・・・・・・素敵だわ・・・素敵過ぎる。
そこにいた大人たちにはこの青年の優しさが分かっていましたが、子供たちは無邪気に「Yちゃん、早かったねー」と大喜び。心が温かくなりました。
それからも彼は「ひょうきん兄さん」を演じながらも、楽しく輪に入っていなかった子さえも巻き込みながら、みんなが笑顔になれるように気をくばっていました。
しかし、年はおなじとはいえ「場の空気を読めない」大きな子も・・・。
大きい子同士で指名し合ってうちわで盛り上がったり、まだ指されていない子がいるのに同じ子ばかりを選んだり。うーん。
うちの息子は無邪気に走りまわっていました。
「ママ、僕走るのはやいよ!見ててね!」とはりきって。
「勝つ」ことが彼のなかでは一番かっこいいことなのでしょう。
・・・・そして昨日、家ではまた喧嘩が勃発。
「もう一回やろうよー、競争!」と息子。
「やだ!負けるの面白くないもん!」と娘。
仲間に入れないオチビちゃん。
・・・・・・・・・。
昨日、寝る前に息子と横になりながら話しをしました。
私たちはこの時間が好きなのです。
日中は忙しい+騒がしいので、みんなが寝たあとで落ち着いて話せるので。
私はちょっと息子に聞いてみました。
「ねえ、この間のゲーム楽しかったね」
「うん、僕またやりたいなあ。僕ね、早かったよ。すごく早く走ったの。」
「そうね。すごいね。・・・・ねえ、Yちゃんさ、泣いちゃったね、そういえば」
「うん。でもさ、あとで走った時にすごく早くてタッチしちゃったよね。あれはファニーだったね。」
「・・・・・あれね・・・、あのお兄さんはわざと負けたって・・・・知ってた?」
すると息子はかなり驚いたようでした。
・・・やっぱり分かってなかったか。
「なんで、わざと負けたの?」
勝つことが何よりの目標の息子にとって「わざと負ける」なんてことは思いもつかなかったのでしょうね。
「なんで?なんで?」
私はそのお兄さんの優しさを息子に話しました。
ひとりだけ笑顔がなかったYちゃんが、とっても素敵な笑顔になったときに皆が本当に楽しくなったことを、息子も思い出しました。
Yちゃんと本気で競争して勝って喜んでいるお兄さんと、わざとゆっくり走って負けてYちゃんを笑顔にさせたお兄さんと・・・・どっちが本当にカッコイイと思う?というと、息子は何も言わずに考えていました。
妹と弟にとって5歳のお兄ちゃんはとっても大きい。なにをやっても一番早い、上手、強いなのは当たり前。そのなかで「勝つ」ことに何の意味があるのか?そしてそんなに大きくて強のいお兄さんだからこそ妹と弟が皆で楽しくなれるようにしてあげられるんじゃない?といことを話しました。
・・・・・。息子は何も言わずに聞いていました。
そして、今日の朝・・・・
「皆で競争しようか!よーいどん!・・・・わーお兄ちゃん負けちゃったー。」と息子。
・・・・・そのままじゃないか(笑)。はは。
まあ、娘もオチビちゃんも大喜びだったのでよいのですが。
息子は「勝つ」こと以外にもかっこいいことがあると気がついたようですし。
そして、お次は娘。
娘には、この気が利く11歳の女の子のことを話しました。
「素敵なお姉さん」を目指している娘にとってはかなり興味があるようでした。(ふふふ)
「まわりに気を配る」「小さい子をいつも自分のことよりも先に考える」
娘に「こうなりなさい」と言う気はないのですが、そういう素敵なお姉さんがいたのよ・・・・と言いました。
すると、突然弟に「一緒に遊ぼうね。なにしようか?」とたずねる娘。クスクス。
今日はなんとか平和な一日でした。
「やったー!僕が一番!」という代わりに「すごいね、早かったねー!」としたのこに言ってあげた息子。
「負けたくないからもうやだ!!」とふくれる代わりに弟が楽しいかどうかを気にする娘。
そして「自分も一緒にやってる!」感でとっても幸せなチビちゃん。
もちろん、これで喧嘩が全く無くなるとは思いませんが、色々なことに気がついていくこと、周りの人のことを考えること・・・・できるひとになってほしいです。
さて・・・・
この話はおまけつきです。
私は「わざと勝つ」ようにしています。息子には。
もっと小さい時はわざとよく負けていたのですが、最近はもうしません。
いいんです。自分が何でも一番ではないことが分かるのも、悔しい思いをするのも、なにくそーと思って頑張るのも必要!たくましくなれ、息子よ。
寝る前に腕相撲を教えてあげました。
娘には「おおおお、結構強いねーー!」と「苦戦の母」だったのですが、息子には「ほいっ」と1秒で勝ちました。あまりの弱さに「もう一回!」「もう一回!」と悔しがる息子。でも何度やってもボロ負け・・・・。とうとう「うーーー!いつか強くなってママに勝つぞーー!」と言いました。
「うん、いつか強くなってママを負かしてね。」
「・・・え?ママは僕に負けたいの?なんで?」
これは説明しても、分からないだろうなあ。ふふふ。
いつの日かこの子が、私が「わざと」負けたり勝ったりしていたことが懐かしくなる頃、強く、そしてやさしい人になっているといいな・・・とそう思います。